第1回CSIチャレンジでグランプリを獲得したステラアップスの近況報告
ARUNでは、来年の第6回CSIチャレンジの準備が始まっています(次の記事もぜひご覧ください)。今日は、第1回CSIチャレンジのグランプリ企業、ステラアップスの近況をお届けしましょう。
今夏、インド、バンガロール郊外にあるステラアップスの工場を訪問しました。広大な敷地、これまでとは桁違いの規模の新工場。空間は清潔に保たれ、よく考えられた動線上に新しい機器が配置され、手際よく作業するスタッフの姿がありました。
ステラアップスは、インドの酪農セクターのスタートアップです。
インドの牛乳生産の大半は、大都市から遠く離れた農村の小規模農家が担っており、牛乳からの収入は農家にとって大事な副収入です。しかし、生産性の低さや、牛乳の品質管理の難しさ、農家への支払いの遅延など、さまざまな課題も抱えていました。
ステラアップスは、こうした課題を、デジタルテクノロジーを活用して解決し、トレーサビリティの高い、高品質の牛乳や乳製品を市場に届けると共に、農家の収入と生活の改善を図ろうとしています。
ステラアップスはまず、インドの村々にデジタル機器を設置して、農家が絞った牛乳の計量や品質検査、牛乳を遠隔地から運ぶ時の温度管理などをクラウドで管理するサービスを開始しました。ARUNが投資したのは、このサービスが始まった頃のことです。高い技術力と現場の誠実なオペレーションが実を結んで、農家と乳業メーカーの両方から信頼されるようになり、今ではインドの42,000の村で日量1,400万リットル以上の牛乳がデジタル管理できるようになりました。
近年は、ヨーグルトやギー(インドの伝統的なオイル)、パニール(インドのチーズ)など、付加価値をつけた乳製品の製造にも着手。加工品もラインナップに加えることで、牛乳の有効利用と利益率の改善に取り組んでいます。冒頭ご紹介したのは、乳製品をつくる新工場です。
今年の夏の時点では、工場はフル稼働には至っておらず、「まずは営業に力を入れて販売先を増やすこと」と語っていたCEOのランジスさん。先日の電話会議では、「販売が順調に伸びていて、今は生産体制の強化が課題、生産キャパシティを増やしても高品質を保つことができるように頑張っている」と話していました。一歩前進、とても嬉しそうでした。
ステラアップスの強みは、農村に深く入り込んで張り巡らされた農家との信頼関係と、高い技術力を活かしたサービスの結合。コロナ禍で苦労した資金調達もようやく峠を越えた今、さらなる成長に向けて、ランジスさんも笑顔で頑張っています。