侵略的外来種をアートに。CSI5ファイナリストの”生物多様性”に対する取り組み
2024年5月に開催されたCSIチャレンジ5。今回はそのファイナリストの企業であるThe Real Elephant Collectiveがどのように生物多様性という課題に取り組んでいるかをご紹介します。
The Real Elephant Collectiveはインドに本社を構える会社。共同創業者3名のうち2名が美術大学を経てアーティストとして活動。同社を起業する前にはNGOを立ち上げ、人の生活圏への侵入を余儀なくされる象の保護、リロケーションを行ってきた経験もあります。
そんな3名が着目したのは侵略的外来生物のランタナでした。
日本では園芸種として知られる植物、ランタナ。南米原産で鮮やかな花をつけますが、毒性のある種を持ち、繁殖力が強く、世界中の森林の生態系を破壊する侵略的外来種でもあります。その繁殖力はすさまじく、国際自然保護連合(IUCN)によって世界の侵略的外来種ワースト100に選定されています。
南インドでは森林の4割がランタナに侵略され、在来植生の浸食、草食動物の草地の減少などの現象が起こっています。この影響で食料が不足した野生生物が人の生活圏に入り込み、インドでは大きな問題となっていました。
これを解決するためにただランタナを駆除するのではなく、駆除した残骸を使ってアート作品をつくろうとしたのがThe Real Elephant Collectiveです。
インドでは伝統的なかご作りを生業としている部族が複数いたが、1980年代頃からは竹でなくこのランタナを使用してそうした工芸品をつくる風潮が生まれました。
ランタナは大きくなると人の背丈を優に超し、また木質化して表面も固くなります。そのため加工がしやすく工芸品の材料として利用価値が高いのです。
The Real Elephant collectiveではこの性質を活かし、ランタナを使った実物大の象のオブジェを作成しています。
実際の製作光景を見てみましょう。
こうして作成された象のオブジェはオークションや環境保護啓発イベントで販売され、その収益は全て現地の保全活動にあてられます。また、これらのオブジェを作成しているのはインドの先住民族であり、雇用の創出と賃金増加に大きな効果をもたらしています。
他にもランタナを原料としたバイオマス事業でバイオマスによる発電、炭の再利用を行ったり、同じく外来種であるセナの木を材料とした動物玩具作成も行っています。
侵略的外来生物の駆除による環境保護だけでなく、その再利用や副産物による事業など様様な手段でインドの自然を守るThe Real Elephant collectiveの活動に注目したいです。
ARUNseedでは他にも様々な社会起業家と協力しながら社会課題の解決に取り組んでいます。過去のCSIチャレンジでは、ジェンダー平等やコロナ禍の途上国支援などをテーマに社会活動家との協力関係を築いてきました。
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