海の植物で地球を救う。CSI5ファイナリストの”生物多様性”に対する取り組み
2024年5月に開催されたCSIチャレンジ5。今回はそのファイナリストの企業であるCarbon Ethicsがどのように生物多様性という課題に取り組んでいるかをご紹介します。
CarbonEthicsは2019年にインドネシアのジャカルタで誕生した会社です。
インドネシアの若手起業家3人組によって設立され、その特徴はインドネシアでの事業展開に係る豊富な知識でしょう。
インドネシアは現地規制が複雑で、海外からの参入が難しい地域です。しかし3人は規制に加え、地域ごとに異なる文化や慣行、公式・非公式問わずルールに関する知見を幅広く有しており、新進気鋭の企業といえます。
3人が注目するのは気候変動と生物多様性。そのための脱炭素化に力を入れています。
脱炭素化は近年よく耳にする言葉ですが、その目的は地球温暖化の防止です。原因となる二酸化炭素(CO₂)の排出をゼロにする事が最終到達点ですが現実的で無いため、実質ゼロにする、即ち排出した分を回収して総量をゼロにすることを目指すことが多いです。
脱炭素化とにた言葉にカーボンニュートラルがあります。
カーボンニュートラルはCO₂を含む温室効果ガスをゼロにする事を目的としています。どちらも目的は地球温暖化の防止ですが、カーボンニュートラルの方が対象が広く設定されているのです。
ブルーカーボンという言葉をご存知でしょうか。
ブルーカーボンとは海中にある生態系によって吸収・貯留された炭素のことです。具体的には海草(うみくさ)・海藻(うみも)・干潟・マングローブ林など海の植物によって分解されたCO₂から吸収・貯蓄された炭素のことを指します。
これと対になるのがグリーンカーボンです。
グリーンカーボンは陸地の植物によって吸収・貯留された炭素のことです。主に、森林や山林・熱帯雨林でのものとなります。
では、この二つには場所以外の差は無いのでしょうか。
実は、ブルーカーボンはグリーンカーボンに比べて炭素を長期間留め置くことができるという特徴があります。生物体の死後数十年、長くても百年ほどで分解が完了する陸地の植物に対し、海の生物は水中にあるため風化・分解がされにくく長期間炭素を海底などに蓄えることが出来るのです。
CarbonEthicsではこのことを利用し、ブルーカーボンを生み出す海洋植物の植林に力を入れています。
マングローブ、海草、サンゴ、海藻などを5年間六カ所に28万本以上植林し他実績もあり、その潜在的な吸収量は1,200万Kg-CO2eを超えます。これがどのくらいの量かというと、体積にして東京ドーム約5個分になります。
また、これらの植林活動により生態系の保全が期待されており、魚、エビ、カニ、貝などの海産物の捕獲量の増加と、それに伴う地元漁師の利益向上にも期待が持てます。
植林はCO₂吸収源としてだけでなく水質改善や水産資源の活性化にも大きな役割を果たすため、CarbonEthicsの活動は地球温暖化防止だけでなく、環境改善や生物多様性、雇用機会の創出など様々な恩恵をもたらしているのです。
ARUNseedでは他にも様々な社会起業家と協力しながら社会課題の解決に取り組んでいます。過去のCSIチャレンジでは、ジェンダー平等やコロナ禍の途上国支援などをテーマに社会活動家との協力関係を築いてきました。
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