インドで持続可能な生理用品を生産する社会的企業Saathiの共同創業者が来日
こんにちは、インターンの北仲です。5月下旬、インドで持続可能な生理用品を生産する社会的企業Saathiのクリスティンさんが来日しました。直接お話を伺うことができましたので、簡単にご紹介したいと思います。
CSIチャレンジ4の準優勝企業Saathiのクリスティンが来日
CSIチャレンジ4のファイナリスト企業であるSaathiの共同創業者クリスティンさんが来日し、ARUNサポーター会員とインターン生に向けて、ジェンダー平等と女性の健康に焦点を当ててお話してくださいました。
クリスティン・カゲツさんは、グジャラート州で持続可能な生理用品を生産するSaathiの共同創業者です。日本経済新聞主催「アジアの未来」(https://futureofasia.net/asia2023/) 登壇のために来日するとのことで、5月21日にお時間をいただき、ARUN Seedのオフィスで直接お話をお伺いしました。
サステイナブルな生理用品の製造に取り組むSaathiの使命や取り組みについて、サステイナブルな選択肢を提供することの重要性について、熱く語ってくださいました。またSaathiは、地域の女性たちに雇用の機会を提供するだけでなく、生理用品の廃棄物問題にも取り組んでいるそうです。
その後のディスカッションでは、ジェンダー不平等の根本的な要因や、社会の変化に対する対応策についても深く掘り下げて話ができました。インターン生たちも、自身の経験や知識を通じて、インド社会でのジェンダー問題に取り組むためのアイデアや提案を共有し話し合うことができました。今回の議論を通じて、ジェンダー問題に対する意識が高まりましたし、具体的な行動へと繋げることの重要性を強く感じました。
おもちゃのレゴに没頭したクリスティンさんが社会起業家になるまで
クリスティンさんは、幼少期から創造することに強い興味を持っており、おもちゃのレゴに没頭する日々を過ごしていました。その興味は次第に広がり、高校や大学で機械工学を専攻するようになりました。将来の夢はNASAで働くことでしたが、D Labのプログラムに参加する中で社会問題や起業に興味を抱くようになりました。特に地域間の問題と解決策を見つけることに情熱を抱き、それが彼女が自身の会社を設立する原動力となりました。
一度はアメリカのIT企業に就職しましたが、自分が本当にやりたいことを見つけることができず、数か月で辞職する決断をします。その後母国のインドで、女性が抱える問題を解決し、機械工学を活かした持続可能な商品開発に取り組むことを決意。ハーバードビジコンで出会った友人と共にSaathiを設立することになりました。彼らは社会的な課題に意識を向けながら、女性の健康と環境に配慮した製品を提供することを目指しています。
地域コミュニティ全体に利益をもたらすサービスを目指すSaathi
Saathiは、環境への影響を最小限に抑えながら、高品質で手頃な価格の衛生製品をすべての人々に提供することをモットーとする製品会社です。持続可能性を重視し、農家、女性、子どもたち、そして地域コミュニティ全体に利益をもたらすモデルを構築しています。
Saathiが販売している女性用ナプキンは、バナナと竹の繊維を使用した、100%生分解性の堆肥化可能な地球に優しい製品です。品質にもこだわっており、かぶれや皮膚刺激が少なく、弾力があり、肌に優しい柔らかさを実現しています。さらに、従来のパッドよりも1.5倍の吸収力を持っています。
Saathiのビジネスプランは、地域の人々の潜在能力や地場産業の力を引き出しています。地球環境への配慮と品質の追求を両立させながら、女性の衛生状態を改善し、地域の経済を活性化させることに貢献していると言えます。
質疑応答セッション
ARUN Seedのメンバーからの質問にも、丁寧に答えてくださいました。一部を抜粋してご紹介します。
Q:衛生環境と子供の退学率の関係性はありますか。
一か月に5回以上学校を休んでしまうと、学校の進度になかなかついていけないと言われています。個人差はありますが、生理が大変な女の子は、学校にあまり行けずに家で家事をやることに従事して、学校をドロップアウトするケースがあります。こういった退学は、今後仕事を得る際にも影響が出てくると考えられるので、関係性はあると思います。
渡辺:初めて製品を見たもしくは使用した時の現地の人々の反応はいかがでしたか?
ワークショップで製品を紹介しつつ、ゴミ問題といった社会問題があるという話をしたところ、現地の人たちは活動に対して興味を抱き、好意的な態度でした。
インドの多くの地域で、女性が生理用品にアクセスできない状況にあるとのことですが、どのように製品をそのような地域まで行き届かせたのですか?
地域とのパートナーシップを構築したことで多くの地域にパッドを配ることに成功しました。医療関係、教育関係の人たちとタッグを組んで、活動を実施して、毎月活動に関してのミーティングを行っています。現地のNGOと共同関係を持ちそのようなシステムを構築し、場所関係なく多くの女性たちにパッドを届けることに注力しています。
ワークショップに参加した人たちは、Saathiのナプキンを使用することを受け入れる姿勢でいましたか?
地域によりますが、大半の人たちは、好意的な姿勢を示してくれたと感じました。特に都市部では、ジェンダーミックスでワークショップを行い、ジェンダー関係なくSaathiの製品について理解を高めていました。参加した多くの男性が、ワークショップの合間にSaathiの製品に関して、質問をしていました。
話を聞いて感じたこと
Saathiは「持続可能性」という言葉を体現している素晴らしいソーシャルビジネス企業であると感じました。多くの企業が自己の利益を追求する中、この企業は「インドの女性たちがどのように活躍できるのか」という使命を追求し、果敢に社会問題に取り組んでいるクリスティンさんの活動に感銘を受けました。
生理に関連する問題は、様々な国で未だタブー視されている中で、このビジネスを立ち上げ、苦しんでいる人々を救うために行動しているSaathiの情熱に心を打たれました。彼らの取り組みは、女性の生理の問題に対する認識を高め、解決策を提供することで、社会的な変革をもたらす可能性を秘めています。直接話を聞く機会を得たことは光栄であり、女性だけでなく男性にも生理の問題について認識を広げることが重要であることを学びました。
Saathiは包括的なアプローチを取り、より広範な意識改革を促進しています。彼らの持続可能なビジネスモデルと熱意ある取り組みは、社会へのポジティブな変化をもたらす可能性を秘めており、引き続きその成長を見守りたいと強く感じました。