観光でカンボジアを豊かに。CSI5ファイナリストの”生物多様性”に対する取り組み

2024年5月に開催されたCSIチャレンジ5。今回はそのファイナリストの企業であるSolo Landscapeがどのように生物多様性という課題に取り組んでいるかをご紹介します。

Solo Landscapeはカンボジアで2020年に設立された比較的新しい会社です。
持続可能なエコツーリズムをキーワードに国内外の観光客に対しツアーを提供しており、アメリカ合衆国国際開発庁（USAID）、VSOインターナショナルなど数多くのパートナーシップ協定者がいます。
そんな新しくも実績を多く持つSolo Landscapeがどのように社会を変えているのか、ご紹介します。

エコツーリズム、別名生態観光とは、地域ぐるみで自然環境や歴史文化などを観光客に伝えることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組みを指します。
カンボジアは国土の20％以上が政府の保護下にあり、たくさんの国立公園と4つのユネスコ世界遺産を保持しています。その世界遺産は寺院と遺跡によるものですが、特に遺跡は樹木が絡みついたものも多く、自然によって歴史の重みとその圧倒的な存在感を見せてくれます。
つまり、カンボジアの観光地はその殆どが自然と共にある訳です。

では、カンボジアの人々は観光によって生計を立てているのでしょうか。
実は、カンボジアにおいて観光業で十分に生活できている人は少ないです。
少し古いデータにはなりますが、2011年の調査では対名目GDP比が観光業が14.9％、対して第一次産業が36.0％とまだまだ第一次産業には及ばないというのが現状です。また、2017年の調査では、カンボジアの18歳以上の有権者のうち26％、約4人に1人は海外に出稼ぎに出ているというデータもあります。

こうした調査で頻繁に指摘されるのが、アンコールワット以外の観光名所の創出です。
2023年のカンボジアへの訪問客数は約545万人とされています。一方で2023年の１～７月にアンコール遺跡を訪れた外国人は約44万人と、年間約88万人が訪れた計算になります。
即ちカンボジアを訪れた外国人のうち16％、約6人に1人がアンコールワットを訪れているのです。
また、カンボジア人の観光客は約220万人と、国民の約8人に1人が訪れている計算になります。これはとても大きな数字ですが、それだけカンボジア国内の観光事業がアンコールワットに依存しているとも言えます。

Solo Landscapeでは60近くの目的地が登録されており、トレッキングやダイビング、自然啓発活動からカンボジア文化の体験まで、幅広い分野のツアーが用意されています。
そしてその何よりもの特徴は環境に対する配慮。プラスチックボトルを使わない、ごみはすべて持ち帰るなど環境配慮を徹底しており、環境意識の高いリピーター客が大変多くなっています。
ツアー客はこれらのエコツーリズムを通じ、生態系の微妙なバランスや生物多様性保全の重要性を学ぶことができる一方で、カンボジア国内に対しては雇用の創出・収入源の確保によって、森林伐採や野生動物の狩猟等環境破壊行為の削減が期待されます。観光客に対し地域の魅力を発信することによる環境・文化の保全だけでなく、カンボジア国内の人々に対しても保全の効果があるのです。

Solo Landscapeの活動がどのようにカンボジアを活性化させていくのか、今後も注目したいです。

ARUNseedでは他にも様々な社会起業家と協力しながら社会課題の解決に取り組んでいます。過去のCSIチャレンジでは、ジェンダー平等やコロナ禍の途上国支援などをテーマに社会活動家との協力関係を築いてきました。
更なる活動のための寄付や会員を随時募集しています。ご興味のある方はぜひこちらから参加をお願いいたします。https://www.arunseed.jp/join/donation

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