安全な職で女性にエンパワーメントを！コロナ禍でもチャレンジを続ける社会的企業「ブックマイバイ」の今

2022年最初のウェビナーとして、第2回CSIチャレンジ優勝企業であるブックマイバイを迎えて「公正なはたらく場を。変わるインドの家事労働サービス」を開催します。インド、ムンバイからオンラインで参加の同社CEOより、これまでの歩みや現況をご報告いただくほか、ARUN Seed代表、功能とのトークセッションなどを予定しております。

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https://arunseed202201event.peatix.com/

今回は、ブックマイバイの取り組む課題や投資後の事業の成長について簡単にご紹介したいと思います。

ブックマイバイCEOアヌパム・シンハル氏と、同社サービスを利用する家事労働者の女性たち

ブックマイバイは、インド第2の大都市ムンバイで2015年に設立された、ITを活用し家事労働者に特化した人材紹介サービスを提供する企業です。雇用主に対し家事労働者を紹介するサービスを行い、女性が安心して働ける環境を提供することで、女性の人権に配慮した雇用を創出し、貧困削減に貢献しています。

第2回CSIチャレンジ終了後、2018年9月にARUN Seedより2万5,000ドルの投資を実行しました。その後も、定期的に同社代表とミーティングを開き、モニタリングを行っています。コロナ禍でやや低迷したものの、家事労働者派遣事業は堅実に売上を確保しており、2021年の時点で、労働者の前職からの給与上昇率も平均約52%と高い効果をあげています。

インドにおける家事労働（料理、洗濯、掃除、子供の世話、介護、車の運転、警備等）の需要は大きく、家事労働者は3千万人、市場規模として45億ドル程度となっています。女性の教育や就業の機会が限られる中、多くの女性が何らかの形で有している経験やスキルを活かした働く場として、家事労働があります。

特に、南アジアの中産階級以上の家庭においては、家事労働者として家政婦を雇うことは珍しくありません。そして、被雇用者は女性であることがほとんどです。

一方で、家事労働者に関する問題として、カースト・宗教・人種による差別、暴力・性的虐待、人身取引、児童労働（14歳未満）等があります。また、雇用者の家庭内で、契約書もないまま低賃金・長時間労働を強制されるなど搾取されやすく、インドにおいて大きな社会問題となっています。

家事労働者の多くは貧しい地域出身者です。特に、女性の家事労働者は社会的に弱い立場におかれています。人権侵害が起きても、家庭内のこととして処理され、泣き寝入りするしかない場合が多いのが現状です。世界経済フォーラムが発表した2021年男女格差レポートでも、インドは156ヵ国中140位となっています。

ブックマイバイが生み出す社会的インパクトとは
ブックマイバイは、家事労働者と雇用主のマッチング機会を提供しています。オンライン上では、5000人以上の求職者が登録され、検索が可能となっています。そして、一時的な家事労働者派遣ではなく、継続的な雇用を前提としており、これはインドでは初めての試みです。求職者に対するサポートも手厚く、中にはトレーニング制度や友人への紹介制度などがあります。

さらに、インドでは、契約が成立した際の手数料を求職者から徴収する業者も存在する一方、ブックマイバイでは雇用主のみへの課金としています。

こうした事業が生み出している代表的な社会的インパクトをご紹介します。
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【1】女性の社会進出・収入向上への貢献
【2】適切な雇用条件の設定・法的拘束力の確保
【3】女性の労働環境の改善・安全の確保
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【1】女性の社会進出・収入向上への貢献

ITを活用して、家事労働者と雇用者家庭のマッチングを効率的かつ安全に行うことにより、貧しい農村女性に、働きがいのある雇用（ディーセントワーク）と、社会進出の機会を提供しました。これまでにのべ14,000人が、ブックマイバイのサービスを通して家事労働の職（パートタイムを含む）についています。さらに、ブックマイバイのデータベースには、52万人の雇用者が登録されています。

また、契約時の適切な給与設定により、求職者の収入は前職と比較し平均52%増加しました。

【2】適切な雇用条件の設定・法的拘束力の確保

単に雇用者と労働者の仲介をするのみでなく、労働者を守るためのサービスも提供しています。

例えば、雇用者の力が大きくなりがちな家事労働の仕事において契約書を締結することを重視しています。署名の場にはスタッフが同席し、文字が読めない求職者の場合にはスタッフが文言を読み上げるなどして、相互の意思確認を重視し、書面で取り交わすことで法的拘束力を確保しています。

【3】女性の労働環境の改善・安全の確保

業務開始後に就労先でトラブルが発生した場合には、24時間対応のヘルプラインに連絡し助けを求めることができます。
農村部から職を求めて都市部に出てきた女性に対しては、求職期間中、同社が無償で住居・食事を提供することも行なっています。

これらの活動は、SDGsのGoal 1（貧困をなくそう）、Goal 4（質の高い教育をみんなに）、Goal 5（ジェンダー平等を実現しよう）、Goal 10（人や国の不平等をなくそう）の達成を促進しています。
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雇用者の近隣エリアの求職者をマッピングして情報提供を行うサービスも開始しています。ネット環境が十分でない農村部ではスタッフが登録代行を行う、あるいは、求職者が友人を紹介して副収入を得る仕組みも設けたことで、求職者の登録数は大きく拡大しています。

2020年3月からインドで実施された数回に亘るロックダウン中は、新規の労働者派遣を停止するなど、事業は厳しい環境下にありました。一方その間に、離職中の労働者のためフードドライブを実施。また公共交通機関が閉鎖していた期間には、派遣先に向かうメイドに対してのUber代金を補填するなどの支援を行いました。

また、既存ビジネスが大きな影響を受ける中、2021年には新規事業として、スマホアプリにより求職者と雇用者を直接つなぐサービスの開発を開始しています。これまでの事業は主に農村部・他国出身の労働者を対象にしていましたが、この新規事業では、比較的経験のある都市部の労働者を対象にしており、ターゲットを明確に分けています。現在、アプリの開発に伴い、更なる資金調達も計画しています。

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アルンシードのようなパートナーに出会うことができ、大変幸運に思っています。社会的投資団体であるアルンシードから出資とサポートを得られたことは、私たちの目指すゴールが間違っていないことを示してくれました。両者が互いに学び合い成長し、将来にわたり社会に大きなインパクトを生み出したいと考えています。

これからもブックマイバイの挑戦にご期待ください。

企業名称: ブックマイバイ（bookmybai.com）
事業内容: 家事労働者に特化した人材紹介事業
設立: 2015年
本社: インド・ムンバイ
https://www.bookmybai.com/

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