社会起業家に関して知っておくべきこと その2
2016年10月の記事では、社会的企業にまつわる包括的定義についてお話しをしました。
こちらの記事では、特に発展途上国に居住する、技術を使って情報発信をすることがない「声なき起業家」について話しました。しかしそんな彼らのほとんどが零細企業家とも呼ばれています。果たしてどのように区別したらよいのでしょうか。
今回のテーマはそんなMicroentrepreneurs(零細起業家)と社会的起業家の区別、そして社会的インパクト投資におけるそれらの共通点です。
国際労働機関(ILO)は「零細起業家」のことを自営の労働者であることから「自己勘定労働者」と広く定義しています。
しかし、ムハマドユヌス名誉教授によって設立されたGrameen Bankによると、「零細起業家」とは、小規模の事業を従業員5人以下で運営し、生活の収入源を確保/補完する人を指すそうです。
また、EUによる「零細企業」の定義は、10人以上の年間売上高が200万ユーロ以下の商業的企業を指すそうです。
零細企業は「BOPから生まれた草の根自由主義」とも呼ばれています(Battersby, 2014 p 792)。
Contemporary Microfinanceという本を出版されたMunozによると、「零細企業」は、雇用・収入創出、購買力強化、そしてビジネス機会の増加などを通して国家経済に大いに貢献すると言います。
以上を踏まえると、零細起業家というのは「規模」の話だけでなく、目的が「生活」であることもうかがえます。
ということは、社会的企業というのは二つの境目で成り立つことが可能ではないでしょうか。
まず一つは、「事業が社会的・商業的活動を行い自給自足を達成する非営利団体」。
そしてもう一つは、「社会的な使命・ミッションを重視し持続可能性を達成する独立採算制の営利団体」 (Samer, 2012 p 26-7) 。
しかしここで両方に共通しているのが、ご想像の通り「投資の壁」です。
もちろん、社会的なビジネスをしっかり理解した人を増やすための知的インフラ整備も重要な点ですが、それらの事業主に投資が回らない限り、彼らの実践は開始されず、成功事例も増えず、社会的な事業の必要性を再確認することができなくなります。
ビジネスがビジネスとして生き続けるためには、Due diligenceのみならず投資家から投資を引きだす様々な要素が必要になります。
それはきっと、社会的インパクトを重視する度合い、社会的インパクトの分野、経済的リターンの度合い、心の形成など、十人十色でしょう。
社会的インパクト投資が従来の投資と全く違う点の一つは、その「投資を引き出す要素」が非常に多様であり、されど断片的であるという点です。
社会的インパクト投資が色鮮やかでわくわくする理由は、きっとそこなのかもしれません。
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