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社会起業家に関して知っておくべき「偏り」のこと。

事業レポート

社会起業家に関して知っておくべき「偏り」のこと。

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みなさんの理想的な社会起業家とはどんな人でしょうか?MBAなどの学位を持っていて、ビジネス経験が豊富で、クリエイティブで……様々な意見が出てくるかと思います。

 その社会起業家を考えるにあたって、よく問われるのが「社会的企業」の定義。
 そこで、まず「社会的企業」を調べるみることにします。

 「社会的企業」を考えるにあたって、Oxford University Said Business SchoolのAlex Nicholls教授が、いわゆるエキスパートとして有名ですね。社会的企業や社会的投資などに興味のある方にとっては、きっと一度は聞いたことがある名前でしょう。Nicholls教授はこれらの分野に関する学術記事を10年以上前からたくさん出版しており、2015年には、世界で初めて「ソーシャルファイナンス」について包括的に書かれた本を共編出版されました。

さて、そんなNicholls教授や、同じく社会的企業の研究者であるスタンフォード大学のDr Ashni Mohnotらは、近年懸念していることがあると言います。
それが、今回のブログのテーマである「社会起業家の包括性」です。

 よく聞くイノベーターや「社会起業家」は、だいたいがMBAを持った人、いわゆる「MBAを受けられる環境にいる人」であることが好まれています。社会的起業フォーラムやイベントなどは、そのほとんどが欧米諸国で行われ、ゲストスピーカーも欧米諸国のビジネス背景の経験者たちが殆どであることも事実です。
 社会的企業にまつわる学術記事やブログ記事なども欧米諸国から発信される英語で書かれたものが多く、ClearlySoのCEOであるRodney Schwartzはこういった現象を、社会的企業にまつわるアングロサクソン帝国主義(Anglo-saxon imperialism)と呼んでいます。

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[Photo: Epic World History]

 これでは、起業家が潜在しているはずのアフリカ、南アメリカ、アジアからの声は世界に響くのに大変時間がかかると私は考えています。
 実際にイノベーションを起こそうと頑張る人は途上国にも沢山おり、MBAや高等教育を受けていなくても知識、知恵、技術や土地などの資源はあるのです。ただ地理的に「そこ」にいないだけで、学位の有無やマーケティングの技術を強いられるこの現状は、社会的企業家を増やす環境に果たして相応しいのでしょうか。真の社会的起業家は自分や地域の生活のための事業で忙しいため、フォーラムやイベントに姿を現すことはない、という意見もあります。「起業」が「生活」であり地域のために活動し、フォーラムに出席できない場所にいる人々は、脚光を浴びる社会的企業家として映らないのでしょうか。

今でいう”Due diligence”、つまり投資の説明責任を果たすためにもMBAやビジネス経験、ネットワークの広さなど、沢山必要事項があるのも事実です。とは言え、社会的起業家を増やすには、あらゆる声を発信しイノベーションを促進しなければいけません。そのために何が必要か、ARUNはさらに皆さんと議論を重ねていきたいと考えています。

参考資料

それでは、次回のブログもお楽しみに!

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