一定した商品生産が可能になった環境があっても従来のように幅広い販売経路がないと、大きな収入創出には繋がりません。Du’ AnyamがNTT内の特徴に着目したことで、女性の既存のスキルを引き出し、商品化し、雇用・収入創出へつなげることができました。女性15人からスタートをした2014年の当初から比べて、2年後の現在2016年では、7つの村にて80人以上の女性の生活に変化をもたらしています。

3. 売り上げと母子保健の改善
Du’ Anyamの最終的付加価値は、商品の売り上げの行き先にあります。共同農業作業をしていた人グループ全員は、労働代金・売り上げをグループ内で分け合います。さらに、売り上げはそのグループの妊娠した女性に必要な出費や栄養摂取のためにも利用されるのです。そして、地域の医療従事者と連携し母子保健に関する教育を行い、定期検診へ行くための交通費を賄ってもらうなどと、母子保健の改善へ繋がります。Du’ Anyamのミッションである母子保健の改善は共同作業で籐の商品を売ることにより、可能になるのです。籐の商品を作る妊婦さんに投資をすることで、未来からのリターンとして、将来生まれてくる子供たちが元気に成長し、国の繁栄に貢献できるということですね。

Muhammad Yunusが提唱し現在世界各地で見られるマイクロファイナンスも、最初はバングラデッシュの文化的特徴である「共同行動」を基に作られましたが、Du’ Anyamの構造も、インドネシアに元からあった共同作業に着目し、ひねりを加えて課題解決に成功したプランであることがわかります。

2014年の設立当初にはマサチューセッツ工科大学のIDEAS Global Challengeにて、US$5,000の賞を受賞し、翌年にはGlobal Social Venture Competitionの東南アジア部門受賞、そしてUnltd Indonesiaのチャンピオンにも輝きました。現在の投資家情報は公開されていませんが、このまま成長を遂げていけば社会的インパクトの広がりに比例して、社会的投資家も増えていくでしょう。